TUSA

ゲージ編

アナログ深度計

ダイビングコンピューターの普及が進む中、ダイバーが持っている器材も3連ゲージから2連(残圧計+コンパス)ゲージに変化しています。TUSAでも2連ゲージをラインナップ(SCA-210)に取り入れています。 しかし、TUSAではあくまでもコンピューターの万一の誤作動や電池切れに備えて、アナログ深度計を備えたゲージの使用を推奨しています。
このアナログ深度計によくあるトラブルは、深度を示す指針(黒い針)が正確な深度を指さなかったり、浮上しても“0”に戻らないなど正常に作動しないことです。これら深度計の指針の作動不良は、製品そのものの不良を除いたそのほとんどの場合が、皆さんの日頃のメンテナンス不足に起因しているのです。
それではまず始めに、このアナログ深度計の内部がどのようにして作動しているのか覗いて見る事にします。

深度計&ブルドン管

左の写真(深度計&ブルドン管)をご覧ください。左側が深度計で、右側はその深度計を裸にした中身で、「開放ブルドン管」と呼ばれる深度計の心臓部です。この「開放ブルドン管」は深度計を作動させるシステムとして多くのメーカーで採用されている最もポピュラーなものです。 深度計の針を動かすメカニズムを簡単に説明しましょう。

(ブルドン管作動模式図)をご覧ください。まず、皆さんご存知の通り、深く潜れば潜るほど水の圧力が増して、空気は圧縮されることはオープンウォーターのときに習いましたね。例えば10m潜ったとすると、ブルドン管内に圧力(力)を持った水が進入し、圧縮された空気の体積は半分になってしまう為 左側の感知口(水の出入り口)から水が、ブルドン管の真中までに進入していきます。
その圧力を黄色と赤の矢印で表しています。黄色の圧力はブルドン管の外側にかかっていて、赤の圧力は内側にかかっています。ここで、ブルドン管は孤を描いていますから、外側の孤の方が内側の孤より面積が広いわけですね。圧力は外側にも内側にも均等にかかるので、面積の大きい外側のほうにより多くの力がかかることになります。従って、ブルドン管の孤は、黒い矢印が示しているように外側に開こうとするわけです。ブルドン管の孤の中心には小さな歯車やバネが組み込まれていて、このブルドン管の動きを針に伝えています。ですから深く潜れば潜るほど、これらの圧力が大きくなるのでブルドン管はより大きく外側に開こうとし、その動きが針に伝わり、針はより深度の深いところを指す仕組みになっているのです。

さて、深度計の作動メカニズムが分かったところでいよいよ、深度計指針作動不良に話を進めましょう。
水深計の針を動かす原動力となる水が出入りする感知口の、外側から見える穴は直径2~3mm程ありますが、ブルドン管の内部の直径はそれよりも細くなっています。ダイビング終了後、レギュレーターセットを水洗いするとき、ほとんどのダイバーが、水槽に入れてジャブジャブ、多くてジャブ×3ぐらいでFINISHしているのをモニター会でよく見ます。この感知口内部に対する十分な水洗いと、正しいメンテナンスが行われていない場合、感知口は塩がみしてしまいます。つまり感知口の穴がふさがってしまいます。もちろん感知口がふさがってしまえばその先のブルドン管まで水が進入できなくなってしまう為、針は正確な深度を指してくれませんし、ひどいものになると針は全く動かなくなってしまいます。
覚えていますか?ダイビングは塩がみや腐食(サビ)を引き起こす海水が相手だということを。

海水中和剤(TEC―20)

そこで、この水深計指針作動不良を起こさない為にも日頃のメンテナンスが役に立ちます。感知口をいつもきれいに保つ為に、海水中和剤(TEC―20)を使用します。レギュレーターセットを水槽に入れて水洗いした後感知口を下にして軽く振り、内部に残っている水分を出してあげます。その後、写真のようにTEC―20を感知口の穴の中に向かって吹き付けます。しばらく放置した後真水で軽くすすげばOK。非常に簡単ですよね。この作業をダイビングが終わった後しっかりやっておけば、感知口に塩が溜まることは防げます。

深度計

ほんのチョットしたメンテナンスが器材をトラブルフリーにしてくれるのですね。

尚、1度塩がみして指針が正常に指さなくなったらアウト! TUSAメンテナンスセンターで治療を受けなければなりませんので、お近くのTUSAデイーラーに修理依頼をしてください。 修理可能であれば復活します(あまりひどい状況の場合、修理不可能な場合があります)。

また、たまに「0に戻らないから不良だ!」と深度計を持ってくるダイバーがいますが、TUSAの深度計には「ゼロ点調整」 という機能が付いているのを知っていましたか?高所ダイビングなど気圧や気温の変化によって指針が“0”を指さない状況下でも指針を0に合わせられる機能があり、深度計右側にあるアジャスターにマイナスのドライバーを指し込んで調節します。指針が0を指せば問題ナシ。
ただ、指針を合わせたにもかかわらず、明らかに文字盤が左右のどちらかに傾いている場合は要点検です。
その状態での使用は絶対にしないで必ず修理に出してください。

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