TUSA

器材トラブル発生時の対応法を知ろう

ダイビング器材は命を預ける大切な器材。
日頃の保管方法やメンテナンスに注意を払うことはもちろん、
使用前に各部を点検することが非常に重要です。

また、ダイビング器材は、使用しなくても経時劣化が起こります。
ダイビング数でタンク100本、または使用状況にかかわらず、購入後もしくはオーバーホール後1年間を経過した時点を目安に、必ず販売店に器材の点検を依頼し、必要に応じてオーバーホールを受ける必要があります。
もしも、定期的なオーバーホールを怠った場合には、器材が正常に作動せずに、重大な事故につながる可能性があります。

しかし、どんなに器材に対して注意を払っていても、それが製造物や機械である以上、使用中にトラブルが起きる可能性はゼロにはなりません。
ですから、万一、使用中に器材にトラブルが発生した時に、どのような対応をしたら良いのかを知っておくことは、非常に大切なことです。
また、いざと言う時に備えて、日頃から準備や練習をしておくことも、大切なことだと言えます。

以下は、ダイビング前とダイビング中に、発生する可能性がある器材トラブルと、その対応方法の一例です。
重器材の場合は、TUSA取扱説明書に記載されている内容もありますが、もう一度読み返して、いざという時に、冷静に対応が出来るようにしてください。

マスクのトラブル

trouble 01マスクのトラブル

マスクのストラップが切れたのに、他のマスクを借りられない時は、エントリー前なら、ダイビングサービスに依頼して、切れたストラップに穴を開け、紐でつないで使用することができます。また、日頃からスペアストラップを用意しておくと安心です。

潜水中にマスクを落として発見できなくなったら、ナイフの柄でタンクを叩くなどしてバディを呼び、探してもらいます。
それでも発見できない時は、バディに手を繋いでもらって、浮上します。マスクを紛失してもパニックにならない様に、日頃から時々水中でマスクを外して、マスククリアーを兼ねた練習をしておくことが大切です。

フィンのトラブル

trouble 02フィンのトラブル

フィンのストラップが切れたのに、他のフィンを借りられない時は、エントリー前なら、ダイビングサービスに依頼して、切れたストラップに穴を開け、紐でつなぐことによって使用できる場合もあります。また、日頃からスペアストラップを用意しておくと安心です。

もしも、フィンを海底に落として発見できなくなったとしても、慌てることはありません。ドルフィンキックやはさみ足などで、推進力を得ることができます。片方のフィンを失っても、落ち着いて対応できるように、日頃から片足キックの練習をしておくことが大切です。

レギュレーターのフリーフロー

trouble 03レギュレーターのフリーフロー

エントリー直後には、セカンドステージのマウスピース部分から(中圧)空気が出放しになるフリーフローが起こることがあります。フリーフローは、セカンドステージ内部に残ってしまった空気を排気弁から抜いて、内部に水を入れることによって止まります。もしも、フリーフローが起こったら、まず、マウスピース部分を手のひらで塞いで、空気の流出を防ぎます。そして、排気弁が水面方向に向くように、水中でセカンドステージをクルッと回転させると、排気弁から内部に残った空気が抜けて、フリーフローが止まります。

定期的なオーバーホールを怠ると、ファーストステージ内の高圧弁まわりのパーツが破損して、(高圧)空気がセカンドステージから出放しになるフリーフローが起こることがあります。そのままマウスピースを咥えて呼吸をすると、肺が破裂する危険性があります。そのような場合には、セカンドステージを握りながら、マウスピースを軽く口にあてて、余分な空気を逃がすように隙間を作ると、水を飲むことなく呼吸をすることができます。高圧空気のフリーフローが起こった時は、ナイフの柄でタンクを叩くなどしてバディを呼び、オクトパスブリージングによって浮上します。このトラブルは、定期的なオーバーホールを行っていれば、起こる可能性はほぼありません。

レギュレーターの水漏れ

trouble 04レギュレーターの水漏れ

定期的なオーバーホールを怠ると、セカンドステージのダイアフラムや排気弁(エギゾ―ストバルブ)が変形したり、キズが入ったりします。また、器材を砂地などに放置すると、ダイアフラムや排気弁に砂やゴミを挟み込んだりすることがあります。ダイアフラムや排気弁に異常をきたすと、呼吸をする時に、セカンドステージ内に少量の水が入ってくる場合があります。

エントリー直後であれば、一旦陸上に戻り、ダイビングサービスなどに依頼して、セカンドステージのフェイスカバーを開けて、ダイアフラムや排気弁の状態をチェックしてもらいます。ダイアフラムや排気弁がめくれ上がっている場合や、砂や異物を挟み込んでいる場合には、適切な処置をしてもらう必要があります。もしも、ダイアフラムや排気弁が破損している時は、使用を中止します。

水中で起こった際は、基本的にオクトパスレギュレーターを使用します。オクトパスレギュレーターが使えない場合には、慌てずにゆっくりと注意をしながら呼吸をすれば、水をほとんど飲むことなく呼吸を続けることができます。時々パージボタンを押して、セカンドステージ内に入った水を排出することによって、より効果的な呼吸ができます。

B.C.J.の給・排気ボタンの故障

trouble 05B.C.J.の給・排気ボタンの故障

定期的なオーバーホールを怠ったり、また、使用後の水洗が不十分であったり、器材を砂地に放置したりすると、B.C.J.のインフレーターの給・排気ボタンが、塩噛みしたり、砂噛みすることがあります。インフレーターの給・排気ボタンが塩噛みしたり、砂噛みすると、B.C.J.の給気や排気ができなくなったり、給気し放しの状態になる場合があります。特に、水中で給気し放しの状態になると、急浮上が起こって、減圧症やエアーエンボリズムになる可能性があるので、日頃から適切な対処法を身につけておくことが肝心です。

給気ができなくなった場合

基本的にフィンキックで浮力を確保しますが、必要に応じて、オーラルインフレーションを行って、B.C.J.内に息を吹き込みます。水中でのオーラルインフレーションは、危険な面があるため、トラブルがあっても、落ち着いて対応できるように、インストラクターの監督の下、浅瀬で練習しておくことも必要です。

排気ができなくなった場合

インフレーターの排気ボタンが故障した時は、(ダンプバルブが装備されている場合には、)ダンプバルブのノブを引くことによって排気します。また、TUSAのB.C.Jは、インフレーター本体を引くことによって、肩口のバルブが開き、排気することができます。万一、排気ができない時には、バディに身体を掴んでもらって浮力コントロールをしながら浮上します。

給気が止まらなくなった場合

インフレーターの給気ボタンが故障して給気したまま止まらなくなった場合は、まずインフレーター用の中圧ホースのプラグを外して、給気を止めます。圧力がかかった状態のプラグは外しづらいですが、力を入れれば外れるはずです。給気ボタンにトラブルがあっても、落ち着いて対応できるように、日頃から水中で中圧ホースのプラグを外す練習をしておくことが大切です。

どうしてもプラグが外れない場合には、肺の破裂が起こらないように、息をゆっくり吐き続けながら浮上します。
浮上する際は、排気操作をし続けることはもちろん、手足を大きく広げ、フィンなどで出きるだけ大きな抵抗を作って、浮上スピードを抑えます。

ドライスーツのトラブル

trouble 06ドライスーツのトラブル

使用後の水洗いが不十分だと、乾燥後に水分が蒸発して、塩分の結晶化が起こります。給・排気ボタンに塩の結晶が付着すると、ボタンの作動状態が低下しますし、排気バルブに付着すると、水漏れの原因となります。また、砂地にドライスーツを放置すると、給・排気ボタンが砂噛みする事があります。特に、給気ボタンにトラブルがあると、急浮上が起こって、減圧症やエアーエンボリズムになる可能性があるので、日頃から適切な対処法を身につけておくことが肝心です。

給気が止まらなくなった場合

ドライスーツの給気ボタンが故障して、給気し放しの状態になった場合は、まず、ドライスーツ用の中圧ホースのプラグを外して給気を止めます。圧力がかかった状態のプラグは外しづらいですが、力を入れれば外れるはずです。給気ボタンにトラブルがあっても、落ち着いて対応できるように、日頃から水中で中圧ホースのプラグを外す練習をしておくことが大切です。どうしてもプラグが外れない場合には、手首や首のシールを引っ張って隙間を作ることによって排気し、浮上を抑えます。そして、バディに身体を掴んでもらって浮力コントロールをしながら浮上します。

急浮上が起こってしまった場合

排気ができなくなったり、給気が止まらなくなったりした際に、上記の対処法をとっても、なお急浮上が起こってしまう場合には、肺の破裂が起こらないように、息を吐きながら浮上します。浮上する際は、排気操作をし続けることはもちろん、手足を大きく広げ、フィンなどで出きるだけ大きな抵抗を作って、浮上スピードを抑えます。

ドライスーツ内に水が浸入した場合

ドライスーツ本体の穴開きや、防水ファスナー・首・手首のシール部の破損等によって、スーツ内に水の浸入が起こることがあります。水温が低い時に多量の水が浸入すると、体温の低下につながり、非常に危険です。また浮力バランスに影響が出ますので、ドライスーツ内に多量の水が浸入した場合には、直ちに浮上して下さい。

撮影協力:南越前ダイビングパーク(http://www.divingpark.jp/

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